すれ違い*Pure Love《1》
教室に入ると、高野が満足気に何か食べているのが目に入ってきた。
バレンタインだからな…
なんて特に気にもせず何となく高野に声をかける。
「何食ってんの?」
「あ、ほしい?チョコチップクッキー。早飛好きだもんな。」
「いらねぇよ。」
やっぱな。
なんて思いながら席につき、カバンを横にかける。
「これさ、瀬川から貰ったんだよね。」
高野の言葉に声も出なかった。
瀬川が高野に…?
すっかりパニくってる俺に高野は笑いを堪えながら付け足した。
「ま、義理チョコだけど。俺が無理に頼んだの。」
そう言うと、高野は堪えるのを止めて吹き出して、持ってたクッキーを袋ごとカバンにしまった。