すれ違い*Pure Love《1》
「梨々……?」
弓菜の声が耳元で響いている。
だけど返事をする余裕なんてなかった。
今井クンの隣の席。
今までは願っても当てることができなかったその席が、今はすぐそこにある。
強く願うときには叶わないのに、諦めた途端にその願いが叶ってしまう。
何だか意地悪。
でも…
きっと、そんなものだよね。
欲しい、欲しい、って言ってる間は手に入らない。
なのに、諦めた途端、簡単に手に入ってしまったりする。
もし…
もし今、今井クンのことを諦めたら…
今井クンは、私のことを好きになってくれるのかな…?
……ありえないよね。
そんな上手くいったら苦労しないもん。
誰も泣いたりなんかしないもんね…