すれ違い*Pure Love《1》
「はい、じゃあ帰りのショート始めま〜す。」
チャイムが鳴り、急いで始めた帰りの用意がちょうど終わった頃、担任のやる気のない声が響き、ガヤガヤした教室は一瞬静かになった。
それと同時に始まったコソコソ話を盗み聞きしながら、私は小さくため息をつく。
すぐ隣に今井クンはいる。
それなのに、一度も交わされない会話。
一度も合わない目。
目には見えなくてもそこには距離があって。
落とした消しゴムを拾ってくれたときの冷たい態度が、その見えない距離をさらに強く感じさせた。
私の机と今井クンの机、
その間に空いた約15センチの隙間。
嫌でも目につく程に大きく開いたその隙間が、何だかすごく虚しかった。