すれ違い*Pure Love《1》






「はい、じゃあ帰りのショート始めま〜す。」


チャイムが鳴り、急いで始めた帰りの用意がちょうど終わった頃、担任のやる気のない声が響き、ガヤガヤした教室は一瞬静かになった。


それと同時に始まったコソコソ話を盗み聞きしながら、私は小さくため息をつく。


すぐ隣に今井クンはいる。


それなのに、一度も交わされない会話。


一度も合わない目。


目には見えなくてもそこには距離があって。


落とした消しゴムを拾ってくれたときの冷たい態度が、その見えない距離をさらに強く感じさせた。


私の机と今井クンの机、
その間に空いた約15センチの隙間。


嫌でも目につく程に大きく開いたその隙間が、何だかすごく虚しかった。






< 174 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop