すれ違い*Pure Love《1》
あの席替えから一週間たった。
未だ縮まらない15センチの距離。
ボーッと遠くを見つめながら長いため息を繰り返していた、いつもの帰り道。
「あのね、実はさ…」
いつも寄るファミレスで、いつもと同じようにドリンクバーを頼むと、七海が少し遠慮がちに口を開いた。
「今日、アイツから告られちゃったんだ。」
恥ずかしそうに顔を赤らめる七海。
アイツ…
それは七海の好きな人。
桜井 陽太クン。
今井クンの友達。
今井クンにあげた私のチョコを食べちゃった人。
今の私が彼について説明するとこうなる。
今井クンって単語を使わないで彼を紹介しろって言われたって、今の私にはできない。
そんな気がした。