すれ違い*Pure Love《1》
友達思いな高野クン。
軽いノリみたいに聞こえるけど、きっと、好きなのに告白に踏み切れない桜井クンにきっかけをあげたかったんだろうなぁ。
そんなことを考えながら、私はもう一度弓菜の方に目をやる。
何も言ってこないけど、たぶん弓菜は高野クンのことが好きなんだ。
口や態度には絶対出さない弓菜。
誰とでも仲が良くて、よく恋の相談にも乗っていた。
だから自分の恋も上手くやっていける子だなんて思ってた。
でも、そうでもないみたい。
授業中や休み時間、時々ボーッとしてることがある。
そんな時はいつも高野クンを見ていた。
クリパの時も、初詣の時も、嬉しすぎてはしゃぐ私にツッコミをいれながらも、弓菜はすごく嬉しそうにニコニコ笑ってた。
今だって。
恋してるって顔をしてる。
切なそうに、嬉しそうに笑ってる。
そんな顔を見つめながら私はフッとため息を漏らした。
弓菜の切なそうな顔は、私に叶わなかった恋を思い出させた。
大好きな彼を思い出させて、胸が苦しくなった。