すれ違い*Pure Love《1》
「あのさ、俺……」
そう言いかけて高野は俯いた。
「何?」
俺がそう言うと、高野は決意したように話しだした。
「俺さ、瀬川にアレ渡すけど、別にいいよな?」
「えっ?それって……」
アレって、ホワイトデーのアレだよな…?
高野が言いだした飴のことだよな?
本命にあげるって…
あれっ?
頭が上手く働いてくれない。
そんな俺を見てフッと笑うと、高野はまた口を開いた。
「義理チョコのお返し。」
義理って言葉にホッとした。
何だ、またからかわれたのか。
そう思ってすっかり安心していた。