すれ違い*Pure Love《1》
ハンガーに引っ掛かったブレザーを手に取ると同時に携帯を手に取って一気に階段を駆け下りた。
リビングのドアを開け、もう一度時計に目をやると、長針はちょうど“3”を指していた。
12時15分。
今から行っても昼休みに間に合うか間に合わないかだ。
昼もまともに食えそうにない。
「最悪…」
無意識に零れた言葉にため息を漏らし、しばらくテレビに見入っていた。
チャンネルを回してたまたまやってたドラマの再放送。
ちょうど主人公が告白するシーン。
「す…」
好きだよ…
そのセリフを聞く前にテレビを切った。
恥ずかしそうに俯いて告白をするシーン。
でもこのシーン、確か主人公はフラれてしまう。
フラれる…
今、そんなことは考えたくなかった。
今そんなことを考えたら、やっとできた決心は簡単に揺らいでしまいそうだったから。