すれ違い*Pure Love《1》
「あっ、瀬川もしかして今日化粧してる?」
靴を揃えて部屋に入ると、先に来てた男子メンバーの一人の高野クンが近寄ってきてそう言った。
「あ、うん。あんまやったことないから下手だけど…」
「いやいや、そんなことねぇって。普通に可愛いって。」
彼の言葉に思わず顔が赤くなる。
だってそんなこと、面と向かって言われたことないから。
「ハハッ。真っ赤になっちゃった。可愛い。」
からかわれてるだけってわかっててもなんか恥ずかしくて。
可愛いなんて言われ慣れてなさすぎて、どうしたらいいかわからなかった。
みんながざわざわ騒いでると、黙っていた今井クンが急に立ち上がった。
「俺、ちょっと買い物いってくるわ。ジュース、足んねぇし。」
そう言って出ていった今井クンが、ちょっと不機嫌に見えて。
私のせいかもって不安で仕方なかった。