すれ違い*Pure Love《1》





俺は早飛の少し前を歩いていた。


早飛の目を見て話せる自身がなかったから。


「つかお前ダサすぎじゃね?あんな緊張してる早飛初めてみたわ。マジウケた。」


ダセぇよ…


バカじゃん?


緊張なんてして。


声まで裏返ってさ。


「てかさ、お前は好きなヤツいねぇの?」


「……んなもん教えねぇよ〜ま、俺は早飛とは違うから(笑」


違うんだよ。


お前とは…


悔しいくらい普通に話せるんだ。


悔しいくらい平然としていられるんだ。


だからお前を裏切りきれねぇよ…


お前が彼女を好きすぎるから。


お前の方が本気だから。


だから俺は言えねぇよ…


絶対言わねぇよ。


このキモチ。


「さっさと帰るぞ。明日、俺ん家だからな。遅れんなよ。」


早飛に手を振りながら思ったんだ。


どうせなら消えちまえばいいのにな。


こんなキモチ…


邪魔なだけなのにな。


こんなキモチ…


口にすれば認めてしまうようでイヤだった。


俺には勝ち目なんてないんだと。


俺の想いは無意味なんだと。


それだけはイヤなんだ。


だってさ…


やっぱり俺、キミのこと…


言葉にすると溢れそうで。


切ない想いを振り切るように、俺はギュッと目を閉じた。






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