すれ違い*Pure Love《1》
「瀬川と何かあった?」
高野が耳元で聞いてくる。
「ねぇよ……ありえねぇだろ?普通に話すこともできないのに何が起こるんだよ……」
そうだよ…
何が起こるんだよ…?
話もできないくせに何期待してんだよ?
最初から叶わない恋だったじゃねぇか…
何落ち込んでんだよ…?
何傷ついてんだよ…?
「……お前、諦めんの?」
「知らねぇよ…」
聞くなよ…?
イヤなんだよ…
俺だって……
「ふぅ〜ん。お前の好きってその程度だったんだな。」
その程度…か……
「そうだな……」
「早飛!!お前、本気だったんじゃ……」
その程度なら良かったよ…
最初から叶わないってわかってる恋で。
視線の先にはいつも違うヤツがいて。
どんなに願っても笑顔すら向けられなくて。
嫌われてるかもしれなくて。
今、彼女の恋が叶いそうで。
それだけで諦められる程度の好きだったら良かったよ…
「早飛…」
「その程度だよ…。俺の恋なんて…」
いつの間にか笑うことなんて忘れてた。
そしたら一気に“切ない”ってキモチが溢れ出してきて。
涙を堪えるので必死だった。