ずっと好きだったんだよ
「寝不足なだけだよー。昨日、萌実が来てさ、家に泊まったから」


あははー、と笑いながら、でも顔は上げずに答える。


嘘は吐いていない。

萌実が来たのも、泊まったのも。

それに、寝不足なのも本当。

ただ、目の腫れている理由が違うだけ。

悠也に泣いた事は言えないけど。


「じゃぁ、何で顔を上げないんだよ」


そう言って、悠也は私の顔を覗き込もうとする。

私に何かあったのか、と心配をしてくれるのは嬉しい。

今までなら単純に喜んでいただろう。

まだ悠也の事が好きな私。

やっぱり嬉しいと思ってしまう自分がいる。

でも、それは一瞬の事。

すぐに栞の存在が頭を過り、辛くなる。


「いやぁー、萌実と夜中まで話しててさ。寝不足ですっごい目が腫れてるから、恥ずかしくって……」


お願い。

これ以上、私の心配をしないで。

私の嘘に、気付かないで……


「……そっか。何もなければいいんだ」


悠也はいつもの様に、ポンポンっと私の頭を撫で、自分の席に行った。


だから、私に優しくしないで……

そんな風に、私に触れないで……

お願いだから、

これ以上、悠也の事を好きにならせないで……


今にも泣き出しそうな私を、綺那は心配そうに見ていた。


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