ずっと好きだったんだよ
その日の夕方――…


後片付けと明日の準備をしていた。

準備と言っても、机を綺麗に並べ直したりするだけなんだけど。

その時……


「栞、今日どうだった?楽しかった?」


めぐちゃんと栞の話し声が聞こえた。


「うん、楽しかったよ。――…った」


栞が何て言ったかは、はっきりと聞こえなかったけど。

だけど、すごく幸せそうな顔をしている栞を見て、

そりゃ、付き合い始めたばかりだから当たり前かもしれないけど、二人はすごく仲が良くて、幸せなんだろうな

そう思った。

だって……

私から離れた所にいる栞の幸せそうな顔だけじゃなく、私の目の前にいる悠也も、すごく幸せそうな顔をしているから……


悠也に彼女がいない時の“友達”という位置は、すごく良かった。

だって、女の子の中で私が一番悠也に近い存在だったはずだから。

でも、悠也に彼女が出来た今、“友達”という位置はすごく辛い。

だって、今も普通に悠也と陽輝、それに私と綺那の四人で話しているのだから。

悠也と栞が付き合った日から、私は悠也と距離を置こうとした。

綺那や陽輝は、そんな事を考えている私の事をわかっていたと思う。

だけど、何も知らない悠也は普通に話しかけてくる。

悠也は私の気持ちを知らないし、それに、悠也と私の関係は“友達”なのだから、普通の事なんだけど。

だから、距離を取ろうとしても、結局は距離を取れないでいた。


< 104 / 294 >

この作品をシェア

pagetop