ずっと好きだったんだよ
その部屋に向かう途中、


「あっ、そうだ。お前の学年に松下さんっていただろ?」


栞?


私は高橋先輩に会った懐かしさと嬉しさで、一瞬、栞がこの大学に通っている事を忘れていた。

高校で“学年一可愛い”と言われていた栞。

だから、高橋先輩が栞の事を知っていても、おかしくはないんだけど……


なんで、栞の事を聞いてくるの?


まぁ、高橋先輩は私が悠也の事を好きだなんて知らないから、栞の事を話してきたのだろうけど。


「はい。栞がどうかしたんですか?」

「えっ?友達?……あ、いや……、松下さんもこのサークルに入っているんだ」


高橋先輩は何故か少し言いにくそうに、そう言った。


広い大学、たくさんの学生。

だから、会う事はないだろうと思っていたのに……


私は、悠也と栞の存在から離れられないの?


「……そう、なんですか」


私は動揺を高橋先輩に気付かれないように、普通に笑顔で返した。


そして、サークルで使っている部屋の前に着いた。


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