ずっと好きだったんだよ
「有沢、顔を上げて?」


高橋先輩は私の肩に手を置く。


「有沢は俺の事、嫌い?」

「そんな事ないです」


私は顔を上げ、大きく首を横に振る。


「じゃぁ、好き?」

「えっと……」

「恋愛感情じゃなくてもいいから」


私がどう答えようか迷っていると、高橋先輩はそう言った。


「好きか嫌いかで言ったら、“好き”です」


高橋先輩の事を嫌いだなんて思った事はない。

男子バスケ部のキャプテンだった高橋先輩は、普段はすごく優しいけど、怒る時はちゃんと怒る人だった。

それに、何か部活内で揉め事が起こった時も、みんなの話をしっかりと聞いて、ちゃんとまとめていた。

みんなの事を理解して、支えてくれる先輩だった。

私はそんな先輩の事は、恋愛感情じゃないけど、“好き”だった。


「今はそれでもいい。それでもいいから……、俺に有沢のそばにいさせて欲しい。一緒にいても有沢の気持ちが変わらないなら、その時は諦めるから……。ダメかな……?」


高橋先輩は真剣な表情で私を見る。


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