ずっと好きだったんだよ
そんな私に気付いたのか、


「……ヤキモチだよ」


抱きしめる腕を緩めながら、櫂は視線を逸らす。

その横顔を見ると、照れているのか、少し赤くなっているのがわかった。


「ごめんな」


気持ちを持ち直したのか、櫂は優しい表情で私を見て、ポンポンと私の頭を撫でた。


あっ……


私は“櫂がヤキモチを焼いてくれた”と思うより、そのポンポンと頭を撫でる行動が“悠也と同じだ……”って思ってしまった。


そして、私と櫂は遅れて店内に入り、みんなのいる席に戻った。


その後は、みんなで楽しい雰囲気で話していたが、私は自分の気持ちを隠す事に必死で、何を話していたのかほとんど覚えていない。



「そろそろ帰るか?」


腕時計を見た陽輝が声をかける。

気が付くと、もう23時を回っていた。


私達は外へ出て、駅へ向かおうとした時、


「あっ、俺あっちに車、停めてるから」


櫂は駅と反対側を指さす。


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