ずっと好きだったんだよ
「今日は俺の事まで呼んでくれてありがとう」


みんなに笑顔を向けた。

そして、


「奈緒、行こう」


そう言って櫂が私の手を取った時、私は咄嗟にその手を振り払おうとしてしまった。

だって、目の前には悠也がいるから。

悠也に、男の人と手を繋いでい仲良くしている所を見られたくない。

私には櫂がいるのに、心の中でそんな風に思ってしまった。

櫂は私が振り払おうとした事に気付いたのか、私の手をぎゅっと握って離さなかった。

そして私はみんなに「バイバイ」と言って、櫂と歩き出した。


櫂は駐車場に着くまでの間、一言も話さなかったし、私を見なかった。


やっぱり気付いているよね?

私が櫂の手を振り払おうとした事を……


「……ごめんなさい」


私の声が聞こえていないのか、聞こえないフリをしているのか。

櫂は黙ったまま歩いていた。


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