ずっと好きだったんだよ
駐車場に着き、車に乗ると、櫂は私の腕を引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。


「……か、い?」

「ごめんな……」


櫂は消えそうな声で謝る。


「何で?何で、櫂が謝るの?」


私は櫂の腕の中から聞いた。

私の心の中には、まだ悠也がいた。

私が櫂を不安にさせている。

私が優しい櫂の手を振り払おうとしたから。

私が悪いのに……

櫂が謝る事は、何一つもないのに……


櫂は私を抱きしめながら


「さっき、みんなの前で、奈緒の手を握ったから……。奈緒、嫌だったんだろ?だから、俺の手を……」


櫂は悲しそうにそう言った。

そんな櫂に、私は櫂の腕の中で大きく首を横に振る。


別に嫌だったわけじゃない。

みんなに見られるのはいいの。

そう、“みんな”はいいの。

ただ……

悠也には見られたくなかったの……


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