ずっと好きだったんだよ
ねぇ、悠也?

それは、どっちなの?


私はむせる悠也の背中をさすりながら「大丈夫?」と聞く。


「あぁ、ありがとう。って、何でそうなるんだよ」

「女のカン、ってやつ?」

「付き合わねぇよ」


悠也は少し投げやり気味に答える。


「何で?」


まぁ、“付き合う”と言われても、ショックだけど。

だけど、悠也、あんなに栞の事が好きだったのに……


「何だっていいだろ!ほっとけよ!」


気になってしつこく聞いた私は、悠也を怒らせてしまった。


「ごめん……」


そうだよね。

栞との事は、もう6年前の事だもん。

その6年の間に、色々あるよね。

私だけだよね。

前に進めていないのは……

普段、怒る事のない悠也を怒らせてしまった私は、その後どうする事も出来ず、悠也と気まずいまま時間だけが過ぎて行った。


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