ずっと好きだったんだよ
その頃には、一人でヒマな時間を過ごしていても、悠也の事を考える事はなくなっていた。

あれだけずっと引きずっていたけど、自分の気持ちを伝えて、悠也の気持ちを聞いて。

そりゃ、フラれた事は悲しいけど、だけど、そのおかげで、私はちゃんと気持ちの整理が出来たんだ。

だから、もう大丈夫。


私は綺那と待ち合わせをして、式が行われる教会へ向かった。

挙式時間より早く着いたので、綺那と外で喋っていると


「よっ!」


声を掛けられ振り向くと、手を上げてこっちへ歩いて来るてっちゃんがいた。

そして、その後ろには悠也も……

久しぶりに会った悠也。

だけど、私の心は落ち着いていた。

悠也に会っても、もう私は平気になっていた。


「久しぶり」


私達のそばへ来た二人に、私はそう言ってにこっと笑う。


「そうだよ。奈緒、誘っても全然来ねぇーんだから」


そう言ったてっちゃんに、私は反論する。


「だって、忙しかったんだから仕方ないでしょ」


そりゃ、最初の頃は、悠也に会うのが気まずくて行かなかったけど。

でも、最近は本当に忙しい時にばっかりみんなが連絡をしてくるから、行けなかったんだ。


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