ずっと好きだったんだよ
「なぁ、奈緒……」


悠也に呼ばれ、振り向こうとしたけど、


「そのままでいいから、聞いて」


そう悠也に言われてしまい、どこを見たらいいかわからず、私はテーブルの上に置かれているコーヒーをじっと見ていた。


「……何?」


悠也の改まった口調に、私はさらに緊張をする。


「遠回しに言うのは嫌だから、はっきり言う」


だから、なに、を……?


私の心臓はこれ以上早く動けないってくらいに煩く動いている。


「奈緒は、“今さら”って思うかもしれない。いや、本当に今さらなんだけど……」


そこまで言うと、悠也は大きく息を吸う。


「俺……、奈緒の事が、好きなんだ」


そして、はっきりとした口調で、そう言った。


「……えっ?」


今、なんて……?


“聞き間違い?”なんて思いながら、私は悠也の方を見る。

すると、悠也はすごく真剣な表情で私をまっすぐ見つめていた。


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