ずっと好きだったんだよ
「えっ……。もしかして、あんた達……、まだ?」


私の態度に何か気付いた綺那は少し驚いていたが、だけど、冗談っぽく聞く。

そう、私と悠也はキスすらした事がない。

一緒にご飯を食べて、帰りは家まで送ってくれる。

そして、別れ際は、いつものように悠也はポンポンと私の頭を撫でて、私の部屋に入る事なく、そのまま帰る。

悠也の気持ちを知ったあの日以来、悠也が私の事をぎゅっと抱きしめてくれる事もなかった。

悠也が私に触れる事はない。

私は、正直、それが寂しかった。

ずっと好きだった相手だけど、ずっと友達だった悠也。

そりゃ、友達の期間が長かったから、少し照れてしまう気持ちもあるけど。


黙っている私を見て、それを肯定と捉えた綺那は


「悠也も何やってんだかねぇー」


と、呆れていた。


「じゃぁさ、奈緒から誘いなよ」


なんて、綺那はにこにこしながら言っていたけど、


「そんなの無理だよ。恥ずかしいもん」


私は真っ赤になってそう言った。

そりゃ、経験がないわけじゃないけど、さすがに私から誘うのは恥ずかしい。

ただでさえ、友達だった悠也と恋人関係になった事にも少し照れがあるのに。


そんな話をしていると、気が付けば時間が23時を過ぎていた。


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