ずっと好きだったんだよ
卒業式の朝――…


いつもの様に、私は萌実と一緒に学校に行った。

春からは、私は公立の北川高校で、萌実は私立の女子校。

こんな風に萌実と登下校を一緒にする事がなくなるんだな、と思うと、すごく寂しくなる。


「……ねぇ、奈緒。私、今日、陽輝に告白する。だって、陽輝は“友達だ”って言ってくれたけど、学校が違ったら、なかなか会えないでしょ?だから、今日で最後だし、頑張って気持ちを伝える。って事で、フラれたら励ましてよね!」


最初は緊張した表情をしていた萌実だけど、最後の言葉を言いながら、にこっと笑った。

だけど、その笑顔にも緊張が見える。


「大丈夫だよ。頑張って!」


気休めじゃなく、本当に大丈夫だと思う。

陽輝の気持ちを知っているわけじゃない。

だけど、悠也とはもちろん、陽輝とも一緒にいる事が多い。

だから、陽輝を見ていて

“陽輝も、もしかしたら萌実の事を……?”

と、思ったりしていたから。


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