ずっと好きだったんだよ
卒業式も無事に終わる。

グラウンドでは、みんな各々に写真を撮り合っていた。

私の行くのは、公立の北川高校だし、同じ高校に進む子も多いけど、“中学最後”だと思うと、寂しい気持ちになる。

私は友達との別れを惜しみつつ

“萌実、大丈夫かな……”

上手くいくような気がするけど、萌実の事が気になって仕方がなかった。


「奈緒ぉー!!」


クラスや部活の友達、それに後輩達と話したり写真を撮ったりしていると、校舎の方から萌実の声が聞こえた。

振り向くと、陽輝と並んで歩く笑顔の萌実の姿があった。


「あっ!萌実ー!」


萌実の笑顔に私は嬉しくなって、萌実に向かって走り出し、そして萌実にぎゅっと抱き付いた。

そして、私は萌実の耳元で


「“おめでとう”でいいんだよね?」


そう言うと、私は顔を上げ、萌実の顔を見る。

すると、萌実と陽輝はすごく幸せそうに微笑んで


「うん!」

「あぁ」


二人同時に答えた。

そんな二人を見て、私はすごく嬉しくなり涙が溢れてきた。

卒業式で流した涙が、さっきやっと止まったのに。


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