ずっと好きだったんだよ
だけど、


「なら、よかった」


そう言うと、悠也は私に触れていた手を離し、私の頭をポンポンと撫で、そして、悠也自身も少し離れた。

悠也と先に進む事が恥ずかしかった私だけど、今はそれよりもすごく寂しい気持ちになる。


どうして?

やっぱり、あの日、私が嫌がったから?


「ねぇ、悠也。何で抱きしめてくれないの?何で……、キス、してくれないの……?」


やっぱり、あの日、私が……


私は悠也の腕を掴み、悠也を見つめる。


「はぁ?何?急にどうしたんだよ」


悠也はすごく驚いて、私を見る。


「“急に”じゃないもん。だって……、だって、あの日以来……。悠也、私の事を抱きしめてくれないんだもん。やっぱり、あの時、私が嫌がったから?だから、悠也は何もしてくれないの?」


私は悠也に縋り付きながら、悠也をじっと見つめる。


「奈緒、落ち着けって」


悠也は私の両腕を掴んで、


「どうしたんだよ」


心配そうな表情で私を見る。


< 240 / 294 >

この作品をシェア

pagetop