ずっと好きだったんだよ
夜景を見ながらのディナーを楽しんだ私達。

食事を終えた時、


「なぁ、ちょっと行きたい所があるんだけど……。いいか?」

「うん」


悠也は真剣な表情で私を見つめていた。


レストランを後にした私達は電車に乗り、ある駅で降りた。


「ここ……」


それは、私達の地元の駅。

実家の近くで一人暮らしをしている私は、別に帰れない距離ではないけど、忙しくてなかなか実家に帰っていなかった。

だから、ここに来るのは、すごく久しぶり。


でも、どこに行くんだろう?


黙ったまま歩く悠也の後ろをついて行く。

私達の地元の駅は、特に何かあるわけでもない。

しばらく黙ったまま歩いていると、


「あっ、この道……」


それは、私達が通っていた中学への通学路だった。


「懐かしいね」


中学の頃の事を思い出し、懐かしくなり、悠也に声を掛けるけど、悠也は「あぁ」としか答えてくれなかった。


< 247 / 294 >

この作品をシェア

pagetop