ずっと好きだったんだよ
ここに来るまでは普通に話していたのに、急にどうしたのだろう……


そんな事を考えていると、私達の通っていた中学校が見えた。

そして、悠也は中学校の校門の前で立ち止まる。


「本当は中に入りたかったんだけどな」


悠也はそう呟いて、


「奈緒と初めて会ったの、あの教室だよな」


と、私達が1年の時に使っていた教室の方を指す。


「うん、そうだね。悠也、入学式の時からモテモテだったよねぇ」


そう言って、私はくすっと笑う。

そして、悠也と初めて会った日の事を思い出していた。

入学式が終わり、萌実と教室に入ったら、悠也はその時にはもう女の子達に囲まれていた。


「あの時は、悠也の事を好きになるなんて思っていなかったなぁ」


あの時の私は、悠也の事を仲の良い男友達だって思っていたから。


「俺だって、奈緒とこんな風に付き合うなんて思っていなかったよ。奈緒は大切な友達だと思っていたから」


そう言うと、悠也は私を見つめ、


「ごめんな。知らず知らずとはいえ、ずっと奈緒の事を傷付けて……」


そして、私の頬に右手をそっと添える。


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