ずっと好きだったんだよ
「えっ?初めてって、今まで誰かに作ってあげた事ないの?」

「うん」

「高橋先輩にも?」


何で今、櫂の名前が出てくるんだろう?と思いながら私が頷くと、


「マジで?すっげぇ嬉しい」


悠也は本当に嬉しそうな表情をして、紙袋の中を見た。


「あっ、腕時計。ありがとう」


悠也が今使っている腕時計は、入社当時に買った物だと言っていた。

そして、私達はもう26歳。

今、悠也の使っている腕時計は、少し若い感じがするから、シンプルで少し大人な感じの腕時計を選んだ。

悠也はその腕時計をはめ、腕を目線まで上げ、嬉しそうに見ている。


「いいじゃん、これ。本当にありがとうな」


そして、私に優しい笑顔を向けてくれた。


「なぁ、今、チョコ食べていい?」

「えっ?う、うん……」


私は、悠也に対するドキドキトは違う意味でドキドキしてきた。

そんな私をよそに、悠也は一つパクッと口の中へ……


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