ずっと好きだったんだよ
「……美味しいよ。ありがとう」


そう言って、悠也は笑顔で私を見ているけど。


「嘘だ!絶対に嘘だ!!」


私は悠也の腕を掴んで、力いっぱい否定した。

私の作ったチョコを、自ら力いっぱい否定するのもどうかと思うけど。

でも、“美味しい”って言うまでに、間があったもん!

その“間”は、何っ!


「本当に美味しいよ」


今度はさらっと言ったが、


「ねぇ、悠也。一つちょうだい」


そう言って、私は悠也の返事を聞く前に、悠也の持つ箱の中からチョコを一つ摘まみ、パクッと……


何、コレ!?にがっ!!


「チョコを溶かしただけなのに、何でこんなに苦いの!?あぁー、やっぱり返して!!」


私は悠也の手の中にある私のあげた苦いチョコを奪い取ろうと手を伸ばす。


「はぁ!?何でだよ!!奈緒が初めて作ってくれたチョコなんだろ?今まで誰にも手作りチョコなんてあげた事ないんだろ?」

「そうだよ!そうだけど!!コレ、チョコなのに甘くないもん!!苦いんだもん!!」


ホント、何でチョコを溶かしただけなのに苦いのよ!?


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