ずっと好きだったんだよ
「これは奈緒が俺の為に一生懸命作ってくれたんだろ?そんなの誰にも……、奈緒にもあげない。俺が全部食べる」


そう言うと、悠也はもう一つパクッとチョコを食べる。


「なっ!?コレ、苦いじゃん!!美味しくないじゃん!!だから、無理して食べなくていいよ!!ってか、そんなにチョコが食べたいなら、あの紙袋に入っているチョコを食べなよ!!」


好きな人には心から“美味しい”と言ってもらいたい。

そりゃ、私は料理が得意ではないけど。

私は美味しくない物をあげてしまった事がすごく嫌で、泣きそうになってきた。


「奈緒っ!」


悠也に大きな声で呼ばれ、私は悠也を見る。


「落ち着けって」


そう言って、悠也は半泣きで取り乱していた私をぎゅっと抱きしめた。

そして、私の頭をポンポンと撫でる。


「さっきも言ったけど。俺は、料理があんまり得意じゃない奈緒が一生懸命作ってくれたって事が嬉しいんだって。だって、あのチョコは、俺の為に作ってくれたチョコなんだろ?」


私はコクンと悠也の腕の中で頷く。


「それが嬉しいんだよ」


そう言うと、私を抱きしめている腕の力を緩め、私のおでこにチュッと軽くキスをした。


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