ずっと好きだったんだよ
「いや、別に怒ってないけど。奈緒って、本当に悩んでいる事は内に隠してなかなか話してくれないけど、嬉しい事は何でも話してくれるからさ。それにしても、奈緒、よく我慢したねぇ」


綺那は笑顔で私を見る。

綺那の言うように、悠也からプロポーズをされた後、嬉しくてすぐにでも綺那や萌実に話したかった。

だけど、悠也が「みんなで集まった時に話して、みんなを驚かそう」って言ったから、私は言わないように気を付けた。

でも、誰かに話を聞いてもらいたくて、梨華ちゃんにはすぐに話したけど。

まぁ、結婚となれば会社にも話さなきゃいけないし、それに、梨華ちゃんは店長でもあるから、どっちみち早い目に報告はしなくちゃいけないけどね。


「あぁー。私が最後かぁー」


綺那はため息を吐きながら嘆く。


「じゃぁ、俺と……」

「ない」


綺那はてっちゃんの一言を言い終わる前にバッサリと遮り断る。

そんないつもと変わらない光景を見ながら、私達は笑っていた。


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