ずっと好きだったんだよ

悠也と奈緒が結婚すると聞いた日。

私は悠也に言ったんだ。


「奈緒の事を悲しませないでよね。泣かせたら、許さないから」


と……


奈緒は中学生の頃からずっと悠也の事が好き。

悠也は奈緒の事を特別に思っていたし、大切にしていた。

だけど、悠也は奈緒の事を友達だと思っていた。

それに、悠也は高校生の時、栞の事が好きだった。

その頃の奈緒は、傷ついたり泣いたりしていた。

でも、奈緒も悠也に気持ちを気付かれないように、自分の気持ちを隠していたから、悠也は奈緒の気持ちを知らない。

だから、それは仕方がないと言えばそうなんだけど。

今までの奈緒の気持ちを知っていて、見ていた私は、奈緒に幸せになってほしいと思っていた。


そして、その時、悠也は


「もう奈緒の事を泣かせない」


と、力強く言っていた。

なのに……


私は奈緒に断りを入れ、化粧室に行く。

そして、苛立ちながら悠也にメールをした。


“奈緒の事を泣かせないって言ったよね”と――…