ずっと好きだったんだよ
「お前、入学式早々、何遅刻してんだよ」


えっ?


その声と同時に私の頭にポンッと手が置かれた。

振り向かなくても誰だかわかる。

さっきまで、ムッとしていた私だけど、大好きな人の声が聞こえた瞬間、胸がドキドキして、一瞬だけど、身体も固まる。


春休み。

萌実が「陽輝と二人で会うのが恥ずかしい」って言うから、一度だけ、悠也と私も一緒に出掛けた。

悠也と会うのは、その日以来。


「遅刻じゃないし!ギリギリ間に合ったもん!!」


私は、ドキドキしている事を隠しながら振り向き答えると、悠也はにこにこと笑顔で立っていた。

その笑顔を見た瞬間、私の心は悠也に聞こえるんじゃないかってくらい、煩く動いた。


春休みだし、そんなに長くない。

だけど、この会えなかった数日間、私の悠也への気持ちは増していった。

今でも“友達でいいから、そばにいたい”って思っている。

でもね?

“出来れば、彼女としてそばにいたい”とも思っている。

と言っても、私はいまだに告白する勇気が持てないのだけど。


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