ずっと好きだったんだよ
あの頃は……

悠也は中学の入学式の時からモテていた。

その頃の陽輝は、そんなに目立っていなかったけど。

だけど、陽輝も元々見た目がいいのもあり、あと“落ち着いていて頼りになる”と次第にモテだした。


そりゃ、萌実も心配だよね……


昨日の夜も、私は萌実と電話で話していた。

その時、


『陽輝もきっとモテるだろうなぁ。高校に行って、他の女の子に目がいっちゃったらどうしよう……』


萌実はすごく心配そうにそう言っていた。

だけど、中学の時から萌実の事しか見ていないから、何の心配もないと思うんだけどね。

昨日の萌実との会話を思い出しながら、黒板に貼ってある座席表を見る。


あっ……

やったー!また悠也と隣の席だ!


“阿部悠也”と“有沢奈緒”。

同じ“あ行”の悠也と私。

同じクラスにさえなれれば、最初の席が隣になる確率は高いんだけど。


私は座席表に書いてある場所に座る。


「また、隣だな。この1年もよろしくな!」


隣の席に座った悠也は笑顔で私を見る。


「また悠也の隣かぁー」


なんて、ちょっと嫌そうに言ってみた。

まぁ、そんなのは嘘で、本当はすごく嬉しいんだけどね。

だって、席替えをするまでの間、それとあと試験の時、悠也の隣にいれるから。


担任の先生が教室に入ってき、簡単な先生の自己紹介と明日からの授業の説明をした。


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