ずっと好きだったんだよ
そして、一瞬黙って、何か考えていたかと思うと


「よし、決まり!今度の休みに買い物行こう!」


拒否権がないくらいな勢いで私を見る。

だけど、


「でも、私、たいてい部活だよ?」

「あっ……」


綺那は部活がある事を忘れてたみたい。


「うーん……。でも、午前中だけの日とかあるでしょ?」


どうしても、私をコーディネートしたいらしく、綺那は諦めない。


「ある事はあるけど、でも、綺那、デートとかバイトは?」


綺那は中学から付き合っている彼氏がいる。


「あぁ、もういいの。もう別れるだろうし。それにバイトも毎日入ってるわけじゃないから大丈夫。ね?だから、行こう!」


綺那は“別れる”なんてどうでもいい事のように、サラッと言った。


「えぇっ!?何で?仲良かったでしょ?」

「うん。前は、ね。でも、もういいの」

「いやいや、よくないでしょ!」


当の本人は何でもないように落ち着いているけど、私は心配になった。


「大丈夫、大丈夫!」


慌てている私に、綺那は笑顔を見せる。

それは、無理してって感じもなく、普通に笑っているけど……


綺那は“大丈夫”って言うけど、心配だな。


「おーい!お前ら、置いてかれるぞー!」


声のした方を見ると、バスの窓から悠也が顔を出していた。

今日は、クラスごとにバスに乗って、目的地まで行く。

周りを見渡したら、ほとんどの人達がバスに乗っていた。

だから、私達も慌ててバスに乗り込んだ。


< 50 / 294 >

この作品をシェア

pagetop