ずっと好きだったんだよ
「あっつーい!」


目的地に着いた私達。

綺那はバスを降りた瞬間、タオルで顔をパタパタと扇いだ。

春だけど、今日は日差しが強い。


さっき“男の子だよ”と言われたけど、帽子をかぶってきてよかった。


そんな事を思いながら、私達はそれぞれのグループに分かれて準備を始めた。

男三人は、火おこしなどの準備、私と綺那は洗い場近くにある台で食材を切っていた。

すると、近くで同じく食材の準備をしていたクラスの女の子達が


「ねぇ、有沢さんって阿部くんと付き合ってるの?」


……へっ?


「はい?」


私はいきなり変な事を言われて驚き、声が裏返る。


何をどう見て、私と悠也が付き合ってる事になるの?


私がびっくりして、きょとんとしていると


「だって、阿部くんと有沢さん、仲良いし。それに、みんな噂してるよ?」


いつも間にか私達の周りには、クラスの女の子達だけじゃなく、他のクラスの女の子達も集まっていた。


「噂?」


私が尋ねると、クラスの女の子が


「うん。阿部くんに告白しても、毎回、断っているのは彼女がいるからだって。で、その彼女が有沢さん」


私を指さしながらにこっと笑う。


「えぇっ!!」


な、何!?その噂!


私が、また驚き固まっていると


「でも、有沢さんと阿部くんなら、お似合いだよねぇ!」


周りから、そんな声が聞こえてきた。


その噂が本当の事なら、かなり嬉しいんだけど……


でも……


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