ずっと好きだったんだよ
「……悠也は優しいね」


私は俯きながら、ボソッと言った。


「えっ?そんな事はないと思うけど?」

「だって、私の火傷だって、たいした事ないのに、こんなに心配してくれるし……」

「それは、奈緒だからだろ」


えっ?


私は、悠也の一言で心臓が止まりそうになった。


ねぇ、それって、もしかして……?


「だって奈緒、“大丈夫”って言って、そのままほったらかしにするだろ?何年、お前と友達やってると思ってんだよ」


……友達、ね。

まぁ、悠也が言うように、あれくらいならわざわざ冷やしに行かなかっただろうけど。


悠也の口から出た“友達”って言葉に、私は悲しくなった。

でも、そんな顔をしちゃダメ。

だって、また悠也が心配するもん。

もちろん“友達”として……


だから、私の気持ちはバレちゃダメ。

悠也に私の気持ちがバレたら、こんな風に悠也のそばにいられなくなる。


「さっすが悠也!よくわかってんじゃん!」


あはは、と笑いながら、これでもかってくらいの明るい声を出した。


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