ずっと好きだったんだよ
「何?」


その女の子達に悠也が聞き返す。


「あの……、阿部くんと有沢さんって付き合ってるんですか?」


本日二度目……


そりゃ、聞いた時はちょっと嬉しかったけど。

でも、その噂は事実ではないし……

そう、噂は噂でしかない。

だから、この質問をされると悲しくなる。


何も答えない悠也をチラッと見ると、すごくびっくりした表情をしていた。


「なんかね、“私と悠也が付き合っている”って噂があるらしいよ」


驚いている悠也に教えると


「えっ?そんな噂があるの?ごめんな、奈緒……」


悠也は申し訳なさそうに私を見る。


「ん?何が?」

「だって、そんな噂があったら、奈緒、彼氏出来ないだろ」


私はショックで返す言葉が見付からなかった。

噂のせいで、私に彼氏が出来ないって心配されて……

そりゃ、そうだよね?

悠也にとって、私は友達でしかないんだから。


もし、私が悠也の事を友達だと思っていたら、“そんなの悠也も同じじゃん”なんて、軽く言えただろう。

だけど、今の私には、そんな事を言う余裕すらない。


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