ずっと好きだったんだよ
「奈緒?」


振り向くとそこには


「あっ、陽輝……」


片付けを終えたのか、陽輝が手を洗いに来た。


「奈緒、火傷大丈夫か?」

「うん」

「なぁ、悠也は?」

「……告白されに行った」

「また?……奈緒、大丈夫か?」


明らかにテンションの低い私に、陽輝は心配そうな顔をした。


「まぁ、告白は、いつもの事なんだけどね……」


そう、モテる悠也が告白をされるのは、いつもの事。

そりゃ、告白されたと聞くとか、告白をされに行く姿を見るのは嫌だけど。

今は、それよりも……


「悠也に“ごめん”って言われた。“友達”ってはっきり言われた」


そう言うと、私の目から涙が溢れてきた。

みんなの前では笑顔でいたい私。

でも、ごめん。

今は、無理。

私と悠也は友達なんだけどね?

そんな事、わかっているんだけどね?

悠也にはっきり言われた事がショックだった。

だって、悠也の中では、私は確実に“友達”という位置にいるって事だから。


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