ずっと好きだったんだよ
「奈緒、一緒に帰ろう!」


笑顔で言うてっちゃんに


「うん。でも、てっちゃん、帰る方向反対じゃないの?」


帰る方向が同じだから、たまに悠也や陽輝とは一緒に帰ったりする事はあったけど、てっちゃんが私達の帰り道から帰る事はほとんどなかった。


悠也か陽輝の家に行くのかな?


なんて思っていると


「お、おう……。そうなんだけどな……」

「何、モジモジしてんのよ」


てっちゃんは顔を赤くし、モジモジしたまま黙ってしまった。


なんなんだ?


と思いながら、てっちゃんを見ていると


「なぁ、奈緒。今度の地元の夏祭りどうする?」


黙ってしまったてっちゃんを見て、悠也が口を開いた。

誘いたくても緊張して誘えなかった夏祭りの話をされて、私はドキッとした。

“一緒に行こう”って誘うだけなのに。

私はすごく緊張してきて、なかなかその言葉が出てこない。


「陽輝は萌実と行くんでしょ?」


だから、私は悠也の質問に答えるんじゃなくて、陽輝に話を振った。


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