ずっと好きだったんだよ
入学式の時、悠也の事を見て“カッコイイ”と萌実は騒いでいた。

だから、萌実は悠也の事を好きなんじゃないかって思っていた。

なんとなくでも、自分の気持ちを自覚した私。

この気持ちを萌実に話すか迷ったけど、私は自分の気持ちを正直に話した。

だけど、


「奈緒にも好きな人が出来たんだー!嬉しいよ!」


と、萌実はすごく喜んでいる。

今まで、私の口から“好きな人が出来た”なんて聞いた事がないから、萌実はすごく嬉しそうにしていた。


「で、でも……。萌実は悠也の事が好きなんじゃないの……?」


だけど私は、萌実に自分の気持ちを正直に話したけど、“萌実と同じ人を好きになってしまった。どうしよう”という気持ちでいっぱいだった。


「はぁ?何でそうなるの?私、そんな事、言ったっけ?」


私の言葉に萌実は“何言ってるの?”という表情になる。


「えっ?だって、入学式の時から悠也の事、カッコイイって言ってたし……」

「ん?……あぁ、言った。言ってたね!でも、私、“カッコイイ”とは言ったけど、“好き”とは言ってないよ。奈緒、そんな事、気にしてたの?」


初めて出来た好きな人。

気持ちに気付いたばかりだし、付き合いたいとかそんな気持ちはない、というか、そういうのはよくわからないけど、萌実と同じ人を好きって事は、萌実と私はライバルになるの?

小学生の頃から仲の良い友達と気まずくなるのは嫌だな、とか、私の頭の中はそんな事ばかり考えていた。


< 8 / 294 >

この作品をシェア

pagetop