ずっと好きだったんだよ
「あぁっ!用事があったの忘れてた!!奈緒、帰ろう!」


そして、


「ごめんねぇ、先に帰るね」


みんなに謝りながら、綺那は私の腕を引っ張り、教室の外に連れ出した。

廊下に出た瞬間、悠也が反対側の扉から出て来て、


「奈緒!ちょっと待って!」


私を呼び止め、私達の所へ走って来た。

綺那もきっと栞とめぐちゃんの会話が聞こえていたんだと思う。

だから、教室を出るには私達のいた所からだったら、悠也達のそばの扉の方が近いのに、悠也の行動を予想して、わざわざ反対側の扉から私を連れ出してくれたのだろう。

それなのに、


「奈緒、聞いてくれよ!」


悠也は嬉しそうな顔をして話し出す。


「俺、松下さんと付き合う事になったんだ」と……


私の事を“何でも話せる友達”だと思っている悠也。

だから、悠也に彼女が出来たら、私に報告してくるだろうとは思っていたけど。


ねぇ、悠也?

どうして、わざわざ私に言うの?

そんな事、報告してくれなくていいのに。

そんな報告、今の私にはキツイよ……


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