ずっと好きだったんだよ
“帰る”と言ったけど、私と綺那は屋上に向かった。

屋上のフェンスを背もたれに座った私は、空を見上げて“うぅーん”と大きく両腕を伸ばす。


「ねぇ、綺那ぁー?」

「何?」


隣に座っている綺那は、心配そうに私を見る。


「私……、笑えてたかな?……悠也の前でっ……ちゃんと、笑えてた?私っ、ちゃんと……友達、出来てたかな……?」


空を見たまま話す私。

我慢していた涙が溢れ出す。

綺那はそんな私の事をぎゅっと抱きしめる。


「奈緒はちゃんと笑えてたよ。よく頑張った。奈緒、えらいね……」


そして、私が落ち着くように、右手でポンポンと頭を撫で、左手で背中をさすってくれた。

私は綺那の腕の中で、子供のように泣きじゃくった。


私……、失恋したんだよな……


たくさん泣いて、少し落ち着いてきた私。


「ごめんね」

「いいよ。気持ちがラクになるまで泣いたら」

「ありがとう」


その後、私と綺那は何かを話すわけでもなく、ただ、ボーっと赤くなっていく空を見ていた。

それからどれくらいの時間が経ったのかはわからない。

気が付けば、あたりは暗くなってきた。


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