ずっと好きだったんだよ
『奈緒……。無理するな。お前、まだ外なのか?』


優しく声を掛けてくれる陽輝に、私はまた泣きそうになる。


「だから、聞き過ぎだって!陽輝は?まだ教室?」


陽輝の後ろからクラスの子達であろう騒がしい声が聞こえる。

隙を見て、私に電話をしてくれたのだろう。


『あぁ。今から帰るところだ』

「そっか。私はまだ学校にいるよ」

『えっ?』

「綺那と屋上にいる」

『綺那と一緒にいるのか』


陽輝は少しホッとしたような声になる。


「うん。だから、みんなが帰った頃を見計らって、帰るよ」

『奈緒、一人で大丈夫か?』


綺那とは家が逆方向だから、校門を出たら私は一人になる。

だから、陽輝は心配したのだろう。


『一緒に帰るか?』

「大丈夫、一人で帰れるよ。それに……」


陽輝と悠也はいつも一緒に帰っている。

だから、陽輝と一緒に帰るという事は、悠也もそこにいる。

さすがに、今、悠也のそばにいるのは辛い。


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