雨音
一度汚れたら
もう落ちない。
そう、1日に何回
シャワーを浴びても。
それが私の選んだ
道なんだから
仕方ないんだ。
タバコを取り出し
火を付けた。
ただゆらゆらと
煙が上がり
心が落ち着く。
けいちゃんは黙って
私の横に腰をおろした。
「なあ、しほ。お前は何を苦しんでいるんだ?
何でいつも泣きそうなんだよ。俺、お前の事が
好きだよ。でも、
お前は誰も見ていない。」
「けいちゃん。
私はこのままがいい。
多くを望めば
いつか無くなった時に
どうしていいのか、
自分1人で立って
いられなくなっちゃう。
私は強くない。」
ただ黙って私の頭を
自分の胸へと
押し当てた。
一定の心臓の音が
心地よくて
けいちゃんの温度が
伝わってまた泣けた。
いつまで私は
弱いままなんだろう。