私を本気にさせないで
私を見つめる彼の瞳は変わらず甘くて、ドキドキしてしまう。

愛しそうに見つめたまま、躊躇いがちに彼の手が私の頬に触れると、そのくすぐったさに自然と口元が緩んでしまう。
するとまた彼もつられるように、口元を緩ませた。


「本当……可愛すぎて困るんですけど」

愛しそうに見つめられたまま放たれた言葉に、まんまと顔を真っ赤にさせられる。

するとますます彼の瞳は甘さを増し、耐え切れなくなったように唸りだしたかと思うと、いきなり私の腰元に腕を回し、抱き上げた。

「キャッ!」

開けた視界に恐怖を感じ、必死に彼の頭にしがみついてしまう。
そんな私に彼は声を押し殺すように笑い出した。
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