私を本気にさせないで
「もういい加減、俺に本気になってくれましたか?」
「本気にさせていいですか?」
この言葉がどこまで本気なのか、私には分からない。
でもごめん。
私はもう絶対に誰にも本気で恋をしないって決めたの。
もう二度とあんなに辛い思いをしたくないから……。
「ねーねー白田先輩、いい加減俺とデートして下さいよ」
「……するわけないでしょ?」
彼から突然キスされてしまった日から、早一ヵ月――。
十月中旬を迎え、すっかりと秋らしい毎日となっていた。
朝晩はなにか羽織るものがないと寒さを感じるようになった今日この頃。
あの日から変わることなく、いやむしろ日に日に積極性を増す彼からの熱烈アプローチを今日も受けていた。