私を本気にさせないで
「そんなんじゃとられちゃうわよ?猛者どもに」

一気にビールを飲み干し、忠告するように話を続ける。

「ただでなくとも、大森君って人気があるじゃない?うちでもけっこうファンがいるくらいだし、あんたがいつまでもウジウジ悩んでいたら、あっという間よ」

「それは……」

大森君に好意を寄せている女性社員が沢山いるってことは、嫌でも理解している。
だからと言ってとられないためにとか、そんな理由でまだ曖昧な気持ちだというのに、彼に『好き』と伝えるわけにはいかないじゃない。

だけど弥生はそんな私の気持ちを否定するように言い放った。

「いつまでも年上女に構ってもらえると思うなよ」

うっ……!弥生の言葉がグサリと胸に突き刺さる。
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