私を本気にさせないで
書類で口元を隠しながらも、俺にしか見えないよう小さく手を振ると、彼女は自分のデスクへと戻っていく。

こんな秘密のやりとりは、今日が初めてではなかった。
あの日から彼女は変わった。

以前とは比べ物にならないくらい、色々な表情を見せてくれるようになった。
心を開いてくれたような……そして自惚れかもしれないけど、自分と同じ気持ちになってくれたのではないか、と何度思ったことか。

それくらい彼女は変わったんだ。


だから俺の期待は膨らむ一方で、それと同時にせっかくクリスマスイブの日に彼女とデートできるのだらから、もう一度彼女に気持ちを伝えようと思っている。

とびっきりロマンチックな雰囲気の中、溢れる気持ちを全て彼女にぶつけたい。
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