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そんな日々を過ごしているうちに高校生になった。
中学と同じで、みんなと一緒がよかった。
普通の人と一緒がよかった。

人の波に揉まれつつ、入学式を迎えた。
式典というものは苦手でいつもどうしても眠くなってしまう。
こういう時、隣の人と少しでも話をすることが出来るなら…どんなに楽しいのだろうか。

そんなことを悶々と考えながら、なんとかやり過ごしていく。
いつの間にか終わった入学式の式場をあとにしながら小さくため息をつく。

教室に入り、静かに席に座ると、スーツを着た女性が教室に入ってくる。
「おはようございます。
今日から1年、このクラスの担任になりました、斎藤未菜です。」
少し背の低めなその先生はそう言って黒板に名前を書いた。

そして、一呼吸つくと、
「じゃあ、早速だけど自己紹介しよっか。」
意地悪にも可愛く笑いながら、そう告げる。

「じゃあ、1番…阿部くんから、なんでもいいから、なんか、一言ね!」

生徒に丸投げで、自己紹介がはじまる。

「阿部陽平です。
趣味はギターで、軽音やろうと思ってまーす。3年間よろしく。」

茶色がかった髪が印象的だった。
それでいて、耳に光るピアスが綺麗だった。

「荒井美月です。
中学ではテニスやってたけど、高校では焼けたくないんでバドやろうかなって思ってます!
迷惑かけるかもだけど、よろしくー!」

ショートカットの髪が運動部を匂わせていた。少し黒く焼けた肌も私は好きだけど。
元気な人だなって思った。
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