放課後コイ綴り
「ほら、彩ー。部活始めるから、ふみを離してあげなさい」
そう言ったのは3年生の部長。
現在文芸部は3年生3人、2年生4人、1年生2人の計9人。
確かこの前、目指せ2桁! って彩先輩が言ってたなぁ。
「部長! 今日はなにするんですかー?」
「リレー小説だよ。あと、1年生はそろそろペンネームも決めようか」
髪をひとつに束ねた部長がにこりと笑ってわたしと一条くんを見つめる。
わぁ、そっか。
わたしたちも来月の部誌には参加するんだから、必要になってくる。
テーマをひとつ決めて、部員で順番に1行程度の文章を繋いで短編を書くリレー小説。
今日は3周するから、と部長がルーズリーフを用意して副部長から始まった。
「んー……」
あれ、ペンネームってどうやって決めたらいいのかなぁ。
思っていたよりずっと難しい。
「ふみ、そんな気負んなくっていいよ。
あたしらも適当に決めたし」
そう言って彩先輩が弾けるように笑う。
一条くんも巻きこんで、3人で顔を突き合わせる。